びんは旅をする
とある日のこと、のどの渇きを覚えていたこともあり、吸い込まれるように居酒屋に入ってしまいました。普段はビールから始めるのですが、その日は健康を気遣い(?)ホッピーを注文しました。そこで出てきたホッピーのびんは傷だらけで、これぞリターナブルびん!といった様相そのものでした。
見てください、この白い擦れ傷を!リターナブルびんの多くはプラスチックケースで輸送されますが、輸送の振動によるケース内部との摩擦から胴部の印刷やラベルを保護するため、胴部が僅かに窪んだ設計になっています。そのため、何度もリユースされているリターナブルびんは、胴部の上部と下部にあるケース内部との接地箇所に白い擦れ傷ができてしまうのです。
その日のホッピーのびんはどれもなかなかのリユース具合でした。我々の業界にはこの様なびんを「旅をしたびん」と表現して、愛でるひともいます。「旅をしたびん」、なんだが情緒的で素敵な表現だと思いませんか?一升びんで5回程度、ビールびんで20回程度リユースされるといわれています。全国各地の居酒屋や家庭で消費されたリターナブルびんは、中身メーカーへと渡り、そして再び全国各地の居酒屋や家庭に……。
びんは旅をします。ぜひ、白い擦れ傷のあるリターナブルびんをお手に取る機会があれば、そのびんのこれまでの旅に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?いつもよりも少しだけ美味しく感じられ、いつもよりも少しだけ楽しいひとときを過ごすことができるかもしれませんよ。
PN 旅きち